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…あれ?
エレベーターを降りてフロアへ向かうと、総務部の入口でキョロキョロしている人物。
私はそっと近づき声をかけた。
『おはよ、向井くん』
向「!!お、おはよ!A、昨日はごめん!」
私の顔を見るなりすごい勢いで頭を下げた彼。
そのまま喋り続けようとするので、ひとまず中に入るように促した。
向「ここ、座ってええの?」
『うん。いつもギリギリだから』
深澤さんの席に座ってもらい、私も自席に座る。
向「さっきな、阿部さんに呼び出されてん」
俯いたまま、向井くんはゆっくりと口を開いた。
向「いつまでも引きずるなって怒られた」
『何か理由があるんじゃ』
向「そうやったとしても。周りに迷惑かけたらあかん」
顔を上げた彼は、真っすぐ私を見る。
向「Aにも迷惑かけてごめん。昨日、迎えに来てくれとったって聞いた」
『それは私が勝手に』
向「俺、次こそトップ目指してがんば……れるんかな」
『え?』
向「……あんだけ頑張っても2位やったし」
そうだよね。
2位になるのだってかなりの努力が必要だったはず。
そんな彼に「頑張れ」なんて簡単に言えるわけ…
?「こーじくん♡応援してるよ♡」
何て言おうか考えていると背後から聞こえた声。
私を真似ているのだろうけど、似てなさすぎる。
向「A…いつからそんな声になったん?」
『ちがーう!』
深「ふはっ」
いつの間にか出社してきていた深澤さん。
向「あっ!勝手に座ってすんません!」
深「ううん。それより…」
そう言った彼は、向井くんの頭を「よく頑張りました」とわしゃわしゃする。
深「目標が大きいのは素晴らしい。でも、まずは頑張った自分を褒めてあげよーね」
深澤さんはやっぱりすごい。
一瞬でこの場の雰囲気をガラッと変えてしまった。
向「そろそろ戻らんと!朝から失礼しました〜!」
すっかり元気を取り戻し、足早に戻って行った彼。
深「さっきのぜひ使ってみてね」
『…ムリデス』
深「なーんで。間違いなく喜ぶのに」
いきなり名前で呼ぶのはハードルが…
深「俺で練習してみる?sayたつや」
『…』
深「1回だけ!お願い!」
『た…』
彼氏でもない先輩を名前で?
そっちの方がハードル高いです。
『た……こやき』
深「ん?」
『たこ焼き、食べにいきませんか』
何言ってんだ私は。
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あんこ(プロフ) - 愛結さん» コメントありがとうございます(o^^o)叫びそうにまでなっていただけたとは!最高の褒め言葉です。私が書くとどうしても阿部様になってしまいがちです…そんな彼が素敵なので。引き続きよろしくお願いします★ (4月25日 20時) (レス) id: e8d67e08c2 (このIDを非表示/違反報告)
愛結(プロフ) - 阿部様書いてくださってありがとうございます。仕事休憩中に叫びそうになりました. (4月25日 13時) (レス) @page32 id: 6e8b454d13 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - みぃ〜さん» 初めまして。コメントありがとうございます★同士の方いらっしゃって嬉しすぎます(*^_^*)もう少し出せたらと思ってますので楽しみにしていてください♪引き続きよろしくお願いします! (3月21日 8時) (レス) @page37 id: 69aa8b4767 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ〜(プロフ) - 初めまして。橙さんの相棒はあの人しかいないですね!私、同士です!この作品に出てきたことがなんか嬉しかったです☆色々とお忙しいと思いますが、マイペースに更新頑張ってください!楽しみにしてます♡ (3月21日 0時) (レス) @page37 id: db78e452a1 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - あやさん» コメントありがとうございます★私の趣味全開の小説にそう言っていただけると励みになります(o^^o)しかも私の心配までありがとうございます…!無理せず頑張ります!今後ともよろしくお願いします♡ (3月16日 8時) (レス) id: 69aa8b4767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんこ | 作成日時:2024年2月11日 21時