My Destiny Ⅲ (ページ48)

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宮舘side

一度だけ、理想のモンブランについて聞いたことがある。

"上のクリームは好きだから多めで、中には大きい栗が丸ごと入ってるの。あと全体的に甘さ控えめだと食べやすいかな〜"

本当は誕生日に間に合わせたかったが、なかなか納得いくものが出来なかった。何回も試作を繰り返し、ようやく完成したのがコレだ。

食べる様子を緊張しながら見守っていると、キラリと光るものが彼女の綺麗な頬を伝う。

"泣いてる？"

そう思った時には彼女の頬に手を伸ばしていた。

泣きながらも食べ続けていたので、口に合わないわけではなかったのだろう。

…となると。泣いた理由は他にあるわけで。

"涼太は…私の事、好き？"

そんな言葉を漏らし、慌てて訂正しようとする彼女に「好きだよ」と答える。

そして自分に言い聞かせるように言った。

"Aは、大切で、大好きな……幼馴染"

それを聞いた彼女は、少しだけ顔を綻ばせたんだ。

これでいい。この気持ちは絶対にバレてはいけない。
頭ではわかっているのに、もう少し一緒にいたいと思ってしまうダメな自分。

宮「順番が逆になっちゃったけど、ご飯も食べてく？」

『えっ！いいの！？』

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「いただきます」と2人並んで手を合わせる。

『涼太がカウンターに座って食べてるの新鮮』

宮「たしかに。むしろ初めてかもしれない」

いつもはカウンター越しだが、今日はこんな近くで美味しそうな表情を見れて幸せ。

そこからは他愛のない話で盛り上がり、あっという間に食事を終えた。

宮「食後のカクテルはいかがですか？」

『飲みたい！マスターのおすすめお願いします』

俺のおすすめ…か。
お気に入りのやつ、出してみよう。

『わあっ、キレイ…これは何？』

宮「ブルームーンだよ」

"ブルームーン"は紫色が綺麗なカクテル。花の香りとフルーティーな甘さで飲みやすく人気が高い。ただし…

宮「度数強めだから気をつけて」

『うん！…ん、初めての感覚』

宮「これ、俺の1番好きなカクテル」

『そうなんだ！美味しいし、香りもいい』

名前、見た目、味、香り、あとは…カクテル言葉。

ブルームーンのカクテル言葉は

"完全なる愛"と"叶わぬ恋"

まるで"俺"と"A"だなって思ったりする。

『涼太の1番好きなの覚えました〜』

宮「ありがと。今度テストするね」

『任せて』

やっぱりAと過ごすのは楽しい。
さっきの涙の理由、聞いてもいいかな？

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