My Destiny Ⅲ (ページ47)

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『お先に失礼します！』

阿「お疲れさまでした」

待ちきれない私は、定時ぴったりに学校を出る。
今日が楽しみで仕方なかったのだから許して。

珍しく店の方に来てほしいと言われたので、看板がCLOSEになっている店の扉をゆっくり開けた。

「こんばんは」と中に入れば笑顔で迎えてくれる涼太。
いつもは多くのお客さんがいるから、2人きりのこの空間が特別に感じる。

宮「いらっしゃい。ごめんね急に」

『全然！むしろありがとう！』

宮「え？」

『だって涼太の料理を他の人より先に食べられるんだよ？幼馴染特典さいこーすぎる」

宮「幼馴染…うん、そうだね」

彼の表情が一瞬曇ったように見えたが、すぐ笑顔になり「これなんだけど」と試作をカウンターに出した。

宮「モンブラン」

『まっまままままま、まじか…食べて、いいの？』

宮「まが多い(笑)食べて、くれる？」

この時期になると必ず食べている大好きなモンブラン。
今年一発目が涼太のって…そんな贅沢ありますか…？

宮「お口に合うか分からない…」

『合わないわけないよ！いただきます』

見た目も美しいそれを口に運ぶ。
上に絞られているクリームは多めで、中には栗がごろっと入っている。甘さは控えめ…これって…。

『私の理想のモンブランだ…』

宮「気づいた？Aが言っていた事を取り入れて…えっ、どうしたの？」

慌てて隣に移動してきた彼は、私の顔を覗き込むようにしてそっと頬に触れる。

宮「泣いてる。やっぱり口に」

『美味しすぎる～～～』

自分でもよく分からないけど涙が止まらなくて、その間ずっと涼太は静かに頭を撫でてくれていた。

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『ごめん…なんか止まらなくて…』

宮「ううん。そんなに喜んでもらえたなら嬉しい」

『美味しくて泣いたの初めて(笑)』

きっと理由はそれだけじゃない。
自分がさりげなく言った事を覚えててくれた嬉しさや、最近ぐるぐると考えている2人の事。頭を撫ででくれる優しい手。全てが合わさっての涙だろう。

『涼太は…私の事、好き？』

待って。今めちゃくちゃ自意識過剰な発言したのでは。

『ごめん、今の忘れ』

宮「好きだよ」

『あ…』

宮「Aは、大切で、大好きな……幼馴染」

そうだよね。危ない。
辰哉や翔太のような"好き"と勘違いするところだった。

ただ、幼馴染と言った時の顔が頭から離れない。
どうして…どうしてそんなにも切なそうな顔で言うの？

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