My Destiny Ⅲ (ページ33)

今日:107 hit、昨日:82 hit、合計:102,332 hit

131 渡辺side ページ33

・

渡辺side

渡「掃除良し。パジャマ準備良し」

部屋が汚いと思われるのは絶対に避けたいので念入りに掃除をし、パジャマも新品だとバレないよう2回洗濯した。

スキンケアやヘアセットにいつもの倍の時間をかけ、今日の俺かなりイケてると思う。

デート(と相手が思っているかは謎)でこんなに気合を入れたのは初めて。家にいても落ち着かず、少し早いけどAの家に向かうと外でAママが水やりをしていた。

母「あら翔太くん。おはよう」

渡「おはようございます。ご無沙汰してます」

母「A呼んでくるから中で待ってて」

お言葉に甘えて中に入ると、大きな荷物を持ったAが出てくる。カジュアルスタイルも似合う、なんて絶対言えないけど。

荷物を持とうと手を差し出せば、なんとその手を握ってきた。それは天然？それともわざと？

乗りたいものを聞くと、嬉しそうに話し出す。
しかも"ちょー楽しみ"とか…にやけそうになるのを必死に堪えた。

渡「俺は……Aがしたいこと全部叶えたい」

『わお』

渡「え、ちょ、今おれなんて言った？」

『姫の願いを全て叶えるって』

渡「ぜってーちがうだろ」

そう言うとAはケラケラと笑っている。
まあ本音だからいいんだけどさ。涼太みたいな事を言ってしまった。

渡「で、本当にそれで全部？」

『そうだよ』

渡「いつも乗りたがってるやつ1個も入ってねーじゃん」

『だって、』

渡「だって？」

『…翔太と楽しめるやつがいいから』

だんだんと小さくなる彼女の声に耳を傾ける。

『本当は、カチューシャもつけたいし絶叫系も乗りたいしお化け屋敷も入りたい。でも、翔太も楽しくないと意味ないもん』

あーあ、ぜんっぜん分かってない。

渡「俺はね、楽しいのよAさえいれば。だから遠慮すんな」

あれ、今日は恥ずかしいセリフが次々と出てくるな。
もうどーにでもなれ。

渡「Aが楽しいと思う事、共有させてよ」

ルームミラーごしに様子をうかがうと、俺の方を見ながらこれでもかと目を見開いている。それが何とも可笑しくて笑ってしまった。

『なに笑ってんの』

渡「ふは。だって、Aの、顔、やべー」

『失礼な！翔太が変なこと言うからでしょ』

正直、あまり考えないようにしていた。
俺らは幼馴染でそれ以上でも以下でもない。

でもやっぱりこうしている時間は、楽しくて、幸せで。

いい加減、素直にならないと…かな。

・