My Destiny Ⅲ (ページ29)

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向井side

朝練から急いで戻ってきて、既に始まっている準備に俺らも参加する。何の準備か知りたい？

佐「あーあー」

向「さっくん、喉の調子は大丈夫そう？」

佐「ばっちり！」

女生徒「向井ー！こんな感じでいい？」

向「すっご。やっぱうまいなぁ」

黒板に書かれた"HAPPYBIRTHDAY"の文字とたくさんのメッセージ、可愛らしいイラストに胸を躍らせる。

そう。日曜日に誕生日を迎えるAちゃんのお祝いをするため、朝からせっせと皆で準備してるのだ。

去年は平日やったから当日にできたけど、今年は前前夜祭となってしまった。喜んでくれるとええな。

男生徒「主役が接近中！」

クラスメイトの一言で、全員に緊張が走る。

ガラッ

『おはよ、』

佐「ハッピーバースデートゥーユー」

向「ハッピーバースデートゥーユー」

佐「ハッピーバースデーディア」

向「Aちゃ～ん」

全員「ハッピーバースデートゥーユー♪」

俺らの美声を聞いたAちゃんは、しばらく固まってから「ありがとう」と微笑んでくれた。

『まさか今年もお祝いしてもらえるとは』

向「当たり前やん！」

佐「ほんとは当日が良かったけどね〜」

Aちゃんは嬉しそうに黒板を見て、みんなからのメッセージをじっくりと読んでいる。

『消すのもったいない。持って帰りたい』

向「めっちゃ喜んでくれるやん」

女生徒「似顔絵も似てるでしょ？」

『ちょっと可愛すぎる気もするけど…嬉しいな』

美術部の女子が書いた似顔絵は、ミニキャラ風なのに上手く特徴も捉えとってめっちゃかわええ。

佐「せっかくだし並んで写真撮ったら？」

向「おっ！ナイスアイデア！」

写真を撮ろうとスマホを構えると、Aちゃんが自分のスマホを差し出してきた。

『私のでも撮ってもらっていい？』

「もちろん」と受け取った時に一瞬見えた待ち受け。
それが気になった俺は、HR終了後に黒板を消しながらこっそり聞いてみる事に。

『あ～消したくない』

向「なあAちゃんの待ち受けって」

『待ち受け？ああ、これか』

そう言ってすんなりと見せてくれた。

見たところ誕生日パーティーでの1枚なんやろうけど、絵面が強すぎる。でもよーく見ると…

向「Aちゃんツノ生えてへん？」

『え！？ほんとだ。やる事が中学生だね』

呆れながら画面を見つめるその横顔は少し笑っていて。
本当に仲がええんやろうなって思った。

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