My Destiny Ⅱ (ページ8)

今日:253 hit、昨日:116 hit、合計:123,835 hit

57 阿部side ページ8

・

阿部side

朝練の為に体育館へ向かっていると、後ろから走ってくる足音。誰かはわかっているので、俺は振り向かずに話しかけた。

阿「おはよう照。廊下は走っちゃダメだよ」

岩「おはよー阿部ちゃん！走ったことはごめん。でも聞いてほしいことが！」

俺と照は大学で知り合い仲良くなった。切磋琢磨しながら教員資格をとり、まさか同じ高校に配属になるとは思わなかったけど。他の先生たちの前ではお互いに敬語で話すようにしているが、2人の時はこんな感じだ。

阿「お、美容院行ってきたんだ。今回も似合ってるね」

岩「さんきゅー！で、その時のことなんだけどさ…」

照から聞いた話はかなりの情報量で、頭の中を整理するのに時間がかかった。こういうの得意なはずなのに。

阿「まさか渡辺さんも幼馴染とはね」

岩「ほんとだよ！A先生も教えてくれればいいのに」

これで、幼馴染③も分かった。そして照が言うには妹の代わりにA先生が婚活に行ったらしい。ハラハラする気持ちも分かるが、俺的にはいい起爆剤になるのではないかと思っている。

岩「なんか阿部ちゃんニヤニヤしてない？」

阿「…そんなことないよ」

危ない、顔に出てしまってた。気を付けよう。

～職員室～

朝練を終えて職員室に行くと、お疲れ気味のA先生。

岩「A先生おはようございます！」

『お2人ともおはようございます…』

阿「もしかして婚活疲れですか？」

『え！？…そうか翔太か…』

彼女は一瞬驚いた顔をしたが、自己解決したようだ。
話を聞くと婚活で色々あった上に、過保護な幼馴染たちの心配攻撃がすごいらしい。

岩「渡辺さんすごい心配してましたもん」

『ほんとですか？あ、彼が変な事言ったみたいで…忘れてくださいね…』

岩「いやいや、A先生の事ずーっと褒めてましたよ」

阿「褒めてた？」

岩「小さい頃から周りに気を配れて、自分も何回も救われたって」

予想外だったのか、それを聞いた彼女の顔はみるみる赤くなっていった。

阿「照れてます？」

『面と向かっては絶対言わないのに、不意打ちはやめてほしいです…』

岩「渡辺さんツンデレっぽいですよね」

阿「俺も会ってみたいです。宮舘さんにも」

岩「じゃあ今度3人で宮舘さん所いきません？」

『いいですね。伝えておきます』

この婚活を経て、拗らせた大人たちがどう変わるのか密かに俺は楽しみにしている。

・