桜色デイズ【桃】 (ページ8)

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さっくんの話をしている間先輩は真剣に耳を傾けてくれていて、話し終えたらこんなことを言い出した。

「へー、なんかいいね、そういうの」

「.......そう、ですか？」

「うん。俺そういう幼馴染とかっていないからさー、しかも異性」

「...そんなもんですかね」

「いや絶対そうでしょ。大事にした方がいいよ...って、知り会ったばっかで何言ってんの俺」

先輩が笑いながら、「あ、俺ここ曲がるから。真っすぐだよね？みんなだいたいそう」と話題を変える。

そうです、それじゃあまた明日会えれば、と言おうと思った瞬間にあることに気づく。

名前、まだ聞いていない！

「あの！」

「ん？」

「.......名前、お聞きしても」

一瞬フリーズした後に先輩は「あ、言ってなかったね」と笑って言った。

「俺、目黒蓮」

「めぐろせんぱい」

「ははっ、蓮でもいいよ。...じゃ俺にも名前、教えてもらっていい？」

「あ、私、AAっていいます」

「Aちゃん。おっけ、覚えた。あ、俺2年3組だから、良かったらまたどっかで話そ！じゃ、またね」

「あっ、はい.......」

私がクラスを言う前に、あまりにも颯爽と去っていってしまった先輩の後ろ姿を見つめながら、この桜の季節にしか味わえないドキドキに、私はただ身を任せていた。