桜色デイズ【桃】 (ページ7)

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なんて一人であたふたしていると、隣の先輩はひとしきり笑って気が済んだのか、新しい話題を話しはじめた。

「いいよね、春って。俺結構好きでさ」

「あ.......」

ここは「そうですよね」って合わせるところだったのかもしれないけど、思わず声が漏れてしまう。

私にとって苦手なものが、この人にとっては好きなものだったんだと思って。

「春、嫌いなの？」

「...あ、花粉症とか！があるから、春は」

「はははっ。絶対嘘じゃんその言い方。いいよ、別に俺そんくらいで気分損ねないから。

　なんで嫌いなの？」

慌てて考えた言い訳はやっぱり見抜かれてしまって、それがおかしかったのか先輩は楽しそうに笑いながら先を促してくる。

出会ったばかりの人に、同級生でも家族でもない人の話をするのはどうなんだろう...

と思いながらも、先輩の優しい眼差しに気が抜けて、気付けば私は口を開いていた。

「8歳年上の幼馴染のお兄ちゃんがいて。

...佐久間大介、って名前だからさっくんって呼んでるんです」