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2年半後。
「ねえラウ、写真撮ろ！」
「俺も言おうと思ってた！いいよいいよ、撮ろう！」
いつもより少しだけ短いスカートにふんわり巻いた髪、淡くピンク色に彩った頬と唇。
最初で最後のかわいい姿を写真におさめるべく、卒業式後の私たちはみんな写真撮影ラッシュだった。
「はい、チーズ！！...ありがと、後でまた送っておくね」
「いやそこは今でしょ、ほら送って送って」
「えぇ〜？しょうがないなあ」
ラウにせがまれてチャット画面を開く。
フォルダから今撮ったばかりの数枚を選択して送信ボタンを押した直後だった。
「ねえ、あれ誰のお兄さん？さすがに父親じゃないよね、
超派手髪だし...めちゃくちゃイケメンなんだけど」
「え、ほんとだ。待ってあの顔どっかで見たことない.......？」
近くにいた女の子ふたりが正門の方を見て何やら騒ぎ出す。
心なしか、正門周辺にいるみんなのママたちもひそひそと話しはじめているような気がした。
そのイケメンとやらを見てみようかと思わず同じ方向を向いてしまうけれど、私には到底見えそうもなかった。
ただ背の高いラウにはそれが見えたようで、
「あ、マジだ。めっちゃかっこいい。
しかも花束持ってるし、誰かの彼氏さんとかな気がする」
「えどこ？見えないんだけど」
「ほらあの、いま桜の木の横にいる...」
ラウに近寄って正門の前にいる人込みの向こうを見ようとじっと目を凝らしてみたその時。
鮮やかなピンク色が見えた。
「.......うそ」
間違えるはずもない、見慣れた笑顔。
人込みを抜けた「その人」と目が合って。
「A！」
「.......さっくん、」
気づいたら、走り出していた。
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作者名：灯莉 | 作成日時：2023年7月22日 2時
