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荒々しい音と誰かの声で目が覚める。
「離せ！！離せオラ！！！」
「っ？！」
私を襲った人なのだろうか、知らない男の人が連れてきたのは目黒先輩だった。
同じように手首を拘束されていて、男の人に突き飛ばされた先輩はわたしの隣にどさりと倒れ込んだ。
「......はぁ、そこで二人仲良くおとなしくしてろよ」
そう言って外へとまた出ていく。
「せん、ぱい、なんで」
「Aさんのスマホ、保健室の先生に渡されて届けようと思ったら、車載せられてるとこ見て。
それで、自転車で追いかけて来たらこうなった」
「え、ごめんなさ、」
「Aさんのせいじゃないから。あと、佐久間さんに連絡したから、来てくれると思う」
「さっくんが...？」
「スマホ、勝手に使っちゃってごめん。」
頭を下げる先輩に慌てて頭を上げてもらうようにお願いする。
(さっくんが......)
助けに来てくれるのかな。
こんな状況なのに、そう思うと少しだけ心が軽くなる自分がいた。
すると、横で体勢を整えて座り直した先輩が「何にやにやしてんの」と突っ込んできた。
「えっ、嘘」
「ほんと。...佐久間さんのこと、マジで好きなんだね」
「...あ、えっと」
「ごめんごめん、意地悪しちゃったね。...俺さ、」
「...はい」
「..........Aさん見てると、自分がすげえ惨めになる」
先輩は少しだけ悲しさのにじむ笑顔で私を見る。
「好きな人のことをまっすぐ想えてるのが、かっこいいなって思う」
「え......？」
「先輩に、そっくり。そういうとこ」
「..........先輩って」
その「先輩」って、もしかして。
脳裏に白いふわふわのシュシュが思い浮かんだ。
「ごめん。俺、」
その時、外で「佐久間ぁ！！！」と叫び声がした。
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作者名：灯莉 | 作成日時：2023年7月22日 2時
