桜色デイズ【桃】 (ページ36)

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けど仲間たちにAのことを出された瞬間、俺の中で妙な意地みたいな、イライラしてるときによく似たあの得体の知れないむずがゆい嫌な気持ちが沸き上がってきて、

「あー確かに、じゃあ俺もやろっかな！」

と返してしまった。

出来上がったピンク色の髪は思ってたよりもかなり良い仕上がりで、正直周りも俺も、担当した美容師さんですら驚いていた。

だからちょっといい気分で、父親に怒られることなんてもうどうでもよくなって家に帰ってきたとき。

「さっくん.......？さっくん、ねえ、どうしたの？その髪の毛...」

怯えたようなAの目や矢継ぎ早に飛んで来る声が、「せっかくいい気分だったのに」という気持ちも災いしてかこの時の俺には堪らなく鬱陶しくて。

「...っうるせえんだよ！！」

「..........！」

ちょっとはこれでおとなしくなってくれるかと威嚇程度の悪戯心だった。

いつも遊んでるんだし、たまには俺のやりたいようにやらせろよ、って気持ちで。

だけど、その日からAは俺に一切話しかけなくなった。

それからAのいなくなった毎日は正直に言って、当時の俺にとっては清々しかった。

髪をピンクにしたことを担任に咎められて謹慎を喰らっても、ダメージは全くなかった。

むしろ髪を染める前よりも反抗心が強くなっていって、みるみるまに俺は「不良」のレッテルに劣らないほどの人間になっていった。

そんな頃だった。

公園で、俺がAを事故に遭わせたのは。

俺が雨の日にあの女の子を見かけたのはその公園だ。ちょうどその事件から少しあとのことだったと思う。