桜色デイズ【桃】 (ページ33)

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海の底から上がっていくみたいに意識が浮上して、瞼の向こうが明るいことを認識する。

(んん.......寝てた.......？)

「あ、」

最初に目に映ったのは、目黒先輩だった。

.......え？

「め、目黒先輩？！」

「はーっ、良かった...あっまだ起きないで！だめだよ」

反射で起き上がりかけたけれど、先輩の手が肩にかかって、そのままゆっくりとベッドに戻される。

なんでここに。というか、何があったんですか？

そう聞こうとしたとき。

「目黒くんどうする？ここいる？」

反対側から聞こえた声に振り返ると、今一番会いたくない人がいた。

いつも着ているジャケットを脱いでワイシャツ姿なうえに、まくっている袖から筋張った手首や腕が覗いていて。

体育祭の日のことを思い出して勝手にドキドキしてしまう。

(ち、違うから、別に)

目黒先輩も隣にいるのに、やけにさっくんばかりが気になってしまう。

でもあれは、さっくんが急に抱きしめてきたりするから.......

心の中で言い訳をしていると、

「先生来るまでは...」

「大丈夫です！全然そんな！」

目黒先輩がまだ居ようとするので慌ててお断りする。先輩の時間を使わせてしまうわけにはいかない。

本当は、いてほしい気持ちも無いといったら嘘になるけど。

「ほんとに？大丈夫？」

「っ？！」