桜色デイズ【桃】 (ページ28)

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『ねえねえ、Aちゃんは、好きな人いるの？』

『えー、いるかいないかなら、いるかな！』

『ほんと？！だれだれ？！同じクラス？』

『ひみつ！』

『A、これお土産！この前宿泊体験あって、A好きそうだなーって思って』

『いいの？！うれしい！さっくん大好き！！』

『あははっ、俺も。Aのことだいすきー』

子供ながらに大好きだった。

周りの友達はみんな、クラスで一番足の速い子、サッカーの上手な子、頭が良くていつもテストが満点な子が好きだった。

私は、そうじゃなかった。

別にそれでいいと思っていた。

『さっくん、ねえ、』

『.......っ、うるせぇんだよ！！！』

でも彼にとって私は、親に言われたから面倒を見ていたただのお隣りの子。

そう気づかされたのが、あの春だった。

モノクロの記憶の中でもはっきりと見える、鮮やかなピンク色。

ああ、またこの夢だ。

夢だけど、これは紛れも無い現実で─────────