桜色デイズ【桃】 (ページ3)

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学校に着くと、そこは新しいクラスを見に来る生徒でごった返していた。

一旦門の脇に寄って「学校着いたよ！」とママに連絡をしておく。

かといってこんなに手前から新クラスの紙が見えるはずもなく、なんとか人込みをかきわけて奥へと入っていく。

「人多っ...すみません、通りまーす...

　ええっと.......あ、あった」

張り出された模造紙の中に自分の名前を見つけてクラスを確認。

私は4組のようだった。

知り合いとかがいるかもしれないし、担任の先生の名前なんかも書いてあるから念のため写真を撮っておこうとスマホを掲げたそのとき。

「1年の教室は5階なー」

(ええ？！1番上？！)

呼びかけをしていた先生のその言葉に驚いて、この人込みだというのに声の方を振り返ってしまいすぐ後ろにいた人にぶつかりかける。

「あっ、すみませ...」

慌てて体勢を変えようとしたその時、ぐらりと体が傾く。

やばい、転ぶ───

「危ない！！」

後ろから声がして、体ごとぐいっと引っ張られた。

「...っ？！」

「ごめん、大丈夫だった...？勝手に触っちゃって」

声の主を見た瞬間、思わず叫びだしそうになった。

だって、さっき見かけたあの男の子だったから。

「す、すみません！大丈夫、です」

「ならよかった」

にこっと笑ってその人はすぐに人込みの中へ戻っていってしまった。

(名前、聞きそびれたなあ..........)

平静を保って話すのに必死で、まともにお礼も言えなかったし。

ネクタイ、同じ色だったからもしあとで会えたらお礼を言おう。