桜色デイズ【桃】 (ページ18)

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それからは部活が始まり、体育祭の練習も始まり、やることがたくさん増えて先輩たちと一緒に帰る機会もほぼなかった。

そうしているとあっという間に時間は過ぎて、すぐに体育祭が近づいてきた。

「Aちゃん！一緒に帰らん？」

「向井先輩！いいですよー」

部活終わりに向井先輩に声をかけられて一緒に帰ることに。

あわよくば目黒先輩もつかまえられないかな、と思ったけれどあの時の帰り道を思い出してそんな都合のいい妄想はやめにする。

「明日体育祭やんな、Aちゃん何出るん？」

「玉入れと借り物競争に。運動できるわけじゃないんで...」

「玉入れ？！うちのクラスなんて玉入れやりたい奴全くおらんくてじゃんけん大会やったで？！」

「あ、ラウ...クラスメイトのラウールって友達に誘われて」

「ラウールくん...あ、あのダンスめっちゃ上手い背ぇ高い子か！玉入れやるん？笑」

「そうなんですよ笑クラスでもめちゃくちゃ言われてました笑」

ラウはダンス強豪のうちにダンス推薦で入学したらしい。いろんなところで鏡を置いて部活してるから実はこうしてすっかり有名人だったりする。

向井先輩は玉入れやってるラウールくんおもろいなぁ...とひとしきり笑った後、「あ、そういや」と話しはじめた。

「めめも借り物競争出るって言っとったわ、選抜やから種目選択いっこしかないんに借り物やるん？！と思ったんやけど」

「そうなんですか？！」

少しだけ胸がドキドキし始める。まさか、そんな偶然ってある？

「まあ借り物競争って青春みたいなとこあるしなー。みんな見たいんちゃう？めめが女の子の手引っ張って走るとこ」

「あー...た、確かに？」

一瞬高鳴った心臓はすぐにそのなりをひそめる。

その可能性は考えてなかった。そっか。

(..........先輩、好きな人とかいるのかな)

「そのお題引いても相手決まってんねやけどなー.......Aちゃん？どした？」

「え、あ、なんでもないです！...すみません、何の話でしたか？」

「いや、特に何の話でもないんやけどね」

真っ赤な夕焼けを見つめながら、どうか先輩がそのお題を引きませんようにと願うばかりだった。