桜色デイズ【桃】 (ページ16)

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「いえ、全然！そうだったんですね。約束してる人いるならもちろんその人と帰るべきですし」

「いやそんなガチガチした約束でも関係でもないけどね。...あ、ほら康二とか暇なんじゃない？」

「ここぞというタイミングですすめてこないでくださいよ笑」

「ははっ、康二ごめーん笑」

宙に向かってこの場にいない向井先輩に手を合わせる目黒先輩と笑いながら、また明日！とその場で別れる。

一緒に帰る約束をしている相手が誰なのかは気になったけれど、まあそんなにカリカリしても...と思い、たまにはゆっくり一人で帰ることにする。

そこでやっとじょうろを片付けて、階段をのろのろ5階分上がる。

教室に置いてあった荷物をどうして持って下りて水やりしなかったんだ、私...と思いながらまた階段を5階分降りて外に出れば、日差しこそ強いものの暑くも寒くもないちょうどいい風が吹いていた。

まだ桜の花が僅かに残っている木もある。少しでも長く咲いていられますようにと願いながら門を通ると、少し向こうにうちの制服の人がふたり。

「ちょっと！蓮くん待って」

「待たない。意外と鈍臭いとこあるよね、ほんと。...えーっと」

「ねぇ～～～～～～！！言わないで！かえして！！読まないで！！」

(………あ)