Call*8 ページ10
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｢来週からテスト前期間だね｡｣
｢そうだね｡｣
｢目黒くんに提案なんだけど､｣
｢提案？｣
｢来週から駅で待ち合わせして帰らない？｣
｢駅で？｣
いつもと同じように何でもない会話をしながら電車に揺られていると､村瀬さんがそんなことを言った。
来週からは部活も休みだし､てっきり村瀬さんは黒咲さんと帰ると思ってたんだけどな。
｢美那は自転車通学なんだけどね？
いつも駅まで送ってくれるんだけど､ほんとは途中の道までしか一緒じゃないから…どうかな？｣
｢なるほど､｣
｢最初は靴箱のところとか校門の前で待ち合わせしたいなって思ったんだけど､そこだと色々目立ちそうだからさ｡｣
美那っていうのは黒咲さんのことだ。
1番仲良くしている友達である黒咲さんよりも俺のことを優先してくれているような気がして嬉しくなる。
きっと村瀬さんにそんな気はないはずなのに。
そんなことされたら自惚れてしまう。
心のどこかで期待してしまう。
村瀬さんも俺と同じ気持ちなのかなって思ってしまう。
ほんと､村瀬さんはずるい人だ。
いつも俺ばかり振り回されている気がして少し悔しい。
｢そこまでして私と一緒に帰らなくてもいいか､ごめん！今の忘れて！｣
あまりの嬉しさにすぐ返事ができなくて､変に誤解を与えてしまった｡
｢違うよ､俺も一緒に帰りたいと思ってた｡｣
｢ほんとに？気使ってない？｣
｢本心だよ｡明日からは駅で待ち合わせして一緒に帰ろう｡｣
｢いいの？めんどくさくない？｣
心配そうな顔で何度も確認してくる村瀬さん。
面倒なわけないし､気を使ってもない。
むしろありがたいのに。
その様子も可愛く思えてくる俺は重症なのかな。
｢全然｡｣
｢よかった〜…断られたらどうしようかと思ってた｡｣
｢断るわけないよ｡｣
｢確かに｡私今まで目黒くんに提案断られたことないかも｡｣
｢そうだったっけ？｣
｢目黒くんってほんとに優しいね｡感動しちゃうよ｡｣
｢ふは､そこまで褒めなくても｡｣
｢お人好しすぎるぐらいに優しいのは目黒くんのいいところだね｡｣
その後､話の流れで勉強会も続けることになった｡
今週だけだと思ってたのに来週も一緒に勉強できるなんて｡
予想もしていなかった展開に､頭が追いつかないぐらいの幸せを感じた。
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年2月8日 20時
