Call*10 ページ12
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｢A､このあとどこか遊びに行く？｣
｢ごめん美那､今日はちょっと予定があって｡｣
｢そうなんだ｡じゃあ私先帰るね！｣
｢またね｡｣
｢また今度遊びに行こ！｣
｢うん｡｣
村瀬さんと黒咲さんのやり取りが聞こえてきて､その“予定”の相手が自分だということについ頬が緩んだ。
今日はテスト最終日。
つまり､村瀬さんと遊びに行く約束をした日。
あの約束をした日から､どこかのショッピングモールとか､思い切ってテーマパークとか､どこに誘うかものすごく悩んだ。
でも結局どこに誘うのが正解なのか分からず､家の近所にある景色が綺麗に見える展望台に誘うことに決めた。
今日､俺は村瀬さんに告白する。
その結果がどうであれ､なるべく人目が気にならない場所の方が俺にとって都合がよかった。
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｢うわぁ､すごく綺麗！こんなところあるなんて知らなかった｡｣
私の家からも割と近いのにね､なんて言いながら目を輝かせて景色を眺める村瀬さん。
その横顔を見ていると､思わず“好きだ”という言葉を口にしそうになる。
｢ごめんね､こんなところにしか誘えなくて｡もっと楽しめるところの方がよかったよね｡｣
｢何言ってるの目黒くん｡私こう見えてめちゃくちゃ楽しんでるよ？｣
｢ほんとに？｣
｢私､こういう静かなところ好きなんだよね｡｣
｢じゃあ…また誘ってもいい？｣
｢もちろん｡
あ､でも今度は私がいい場所見つけて私から誘うよ！｣
今度ってことは､またこうして2人で遊びに行けるんだ。
もしかして少しは期待してもいいのかな。
村瀬さんの気持ちが全く予想できない。
｢見つけてくれる場所､楽しみにしてる｡｣
｢ふふ､あんまり期待値上げないでよ？｣
｢ねぇ村瀬さん､｣
｢ん？｣
呼びかけるといつものように柔らかな表情でこちらへと振り向く。
あぁ､告白をする時ってこんな気持ちになるのか。
何とも言えない､言葉では表すことができない気持ち。
きっと俺は今日のこの景色をずっと忘れないんだろうな。
｢今日ここに誘ったのには理由があって､｣
｢理由？｣
｢村瀬さんに言いたいことがあったんだ｡｣
｢私に､言いたいこと…｣
｢俺…村瀬さんのことが好きなんだ｡｣
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年2月8日 20時
