３週間【青】 (ページ10)

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5限に再びA組の教室に入る。

昼食を挟んだ後の授業なので生徒たちは心なしかみんな眠そうな顔をしていた。

渡辺くんはといえば…やっぱり寝てる。

気にしなければ良いのだけど、目の前にいるからどうしたって視界に入って気になっちゃうんだよね…

とりあえず今日も順調に授業が進みいい感じ。

中盤に差し掛かった頃、今日も生徒たちに回答を求める時間を設けた。

「じゃあ…この問題を宮舘くん。答えてもらっても良いかな？」

宮「はい。……………わかりません」

時間をたっぷりかけて、ハキハキと分からないという彼が潔くて思わず笑ってしまう。

周りの生徒たちも「分かってるテンションで答えるのやめて」と爆笑していた。

「じゃあ…宮舘くんがこのお話の主人公だったら、この後の展開がどういう流れだと良いなって思う？」

少し違う角度から質問をしてみた。

宮「そうですね…僕だったらこの女性を悲しませることはしませんね」

彼の回答に教室中が大盛り上がりだった。

目の前の真面目な井沢さんも「もう、涼ちゃん本当ウケる」と物凄く笑っていて、机に伏して寝ているはずの渡辺くんの肩もなぜか小刻みに揺れていた。

「素晴らしい回答です。宮舘くんの言う通りで、この主人公の彼もまた、女性の為に度重なる試練を乗り越えて愛を貫くという選択をしました」

宮「やっぱり」

その発言でまたしても教室に笑いが起こり、「舘さん最高ー！」などと言われ盛り上がっていた。

宮舘くんてこんなキャラなのね。

意外な一面を知り、さっそく今日の“生徒ノート“に記入することにした。

そしてまたしても小刻みに揺れてる渡辺くん。

これはもう絶対起きてるでしょ。

そう確信して、次の問題では渡辺くんに答えてもらうことにした。

「じゃあ…ここの答えを、渡辺くんお願いします」

渡「…」

「渡辺くーん…起きてると思うんだけどなぁ…？」

渡「…だる」

すかさず井沢さんが、「翔ちゃん！」と注意する。

そのやり取りもこのクラスでは名物なのか、みんな笑っていた。

のそのそと顔を上げた渡辺くんが、一瞬私を睨み、「で、なんですか？」と問う。

まずは顔を上げてくれたことが一歩前進。

「渡辺くんは、ここの問題…「分かりません」」

阿「翔太、食い気味すぎ！」

今度はすかさず阿部くんに注意を受ける。

なるほど、分かりませんときたか…。

じゃあ、次の策でいってみよう。