３週間【青】 (ページ47)

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Day10 ページ47

昨日のことがあり、正直今日は実習に行くのが気が重かった。

しかし、私の授業を聞いてくれる生徒たちの為にも、個人的な考えは学校では捨てて、しっかりとやるべきことを全うしようと気合いを入れてから教室に向かった。

恐る恐るクラスの扉を開ければ、いつものように生徒たちは自分の席に着き始める。

ここ最近ではもうすっかり見慣れた光景。

ただ1人を除いては。

そう、渡辺くんはすっかり初日の渡辺くんに戻っていた。

つまり机に付して爆睡してるということ。

もっと違うのは出欠の際に返事さえしなかったことだ。

「渡辺くん。渡辺翔太くん」

渡「…」

数回呼んだけど、ピクリともしない。

井沢さんも肩を叩きながら「翔ちゃん！起きて」と声をかけてくれたが、ホームルーム中も授業中も、一日中渡辺くんが顔を上げることはなかった。

本気で寝ている…とは考えにくい気がした。

なのでやはり私が避けられているんだと思う。

ズキっと心が痛い。

予想はしていたけど、ここまで徹底していると…

とりあえず今日の帰りもコンビニに寄って謝ろう。

あの場所なら少なくとも寝てることはないはずだから…

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Ryota side

翔太の様子がおかしい。

今までならホームルームも授業中も寝ているのが普通だったので何とも思わなかったけど、ここ最近の翔太は毎日起きていて(A先生の時は特に)活気があった。

なのに、今日また再び以前の翔太に戻ってる。

いや、正確に言えば戻ろうとしてる、かな？

今までは授業中に本気で寝ていたから昼休みも屋上で本気で寝ていた翔太。

だけどお昼になれば寝ないでこうして学食に来ている。

ということは、寝てるんじゃなくて寝たふりをしなきゃいけない理由があるのかなって直感的に思った。

それに体育の授業でも様子がおかしかった。

岩本先生が何度か翔太に話しかけてるにも関わらず、フルシカトをしていたから。

岩本先生は怒るでもなく、やや呆れた顔をしてその度に翔太を見ていただけだったけど…

今、目の前で「うまっ！」とハンバーグ定食を食べる翔太はこんなに機嫌が良いというのに。

涼「翔太」

翔「んー？」

涼「なんで今日は寝てたの？」

翔「…寝みぃからに決まってんじゃん」

涼「でも今は寝てないじゃん」

翔「…腹へってんのに飯食っちゃいけないのかよ」

涼「いや…たくさんお食べ」

翔「…」

だいたい理由は分かるので、これ以上は追求しないでおこう。