３週間【青】 (ページ19)

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Shota side

不思議と今日は眠くない。

昨夜だって24時までバイトして帰ってきたことには変わりないはずなのに、今日は1度も寝ずに授業を受けることができた。

なぜか。

それは多分、Aセンセーの授業が楽しみだったから。

俺は案外単純で、昨日たまたま授業で音読したのを褒められたのが嬉しかった。

その後コンビニで話した時も、面倒臭い生徒なんてほっとけばいいのに真面目に俺の今の状況や将来について考えてくれたのもなんかすごい嬉しくて。

気付いたら帰り道はそのことを思い返しながら自転車に乗っていた。

今朝も起きたらなんだかソワソワしていて。

制服を着るのも、学校へ向かう道も、教室の風景もいつもと違ってキラキラしたものに変わった。

早く会いたいって思った。

それで自覚した。

あ、俺、Aセンセーのこと意識してるかもって。

ホームルームでセンセーが教室に入ってきた時もドキってしたし。

俺の目の前に立つ先生を見上げる。

初日は寝ぼけてあんま見てなかったけど、センセーは実は可愛い。

決して派手じゃないんだけど、地味でもない感じ。

ここって特等席じゃんって今更ながらに気付く。

昨日一昨日と寝ていた自分に、勿体無いことしたなって言ってやりたい。

一度意識してしまうと、どうにもこうにも気になってしまって。

好かれることはあっても、自分から誰かを好きになって、気になって、目で追うなんてかなり久しぶりだった。

授業が始まると、一瞬センセーと目が合う。

すごく驚いた顔をしてた。

俺が起きてることが多分意外だったんだろう。

俺はちょっと動揺して、すぐに視線をそらして教科書を読むフリをしてしまった。

本当にチョロすぎて情けない話なんだけど、気になる人の説明だと授業はすんなり頭に入ってくる。

それだけじゃなくて、センセーの声や板書する手、後ろ姿、教科書を読む時の伏せた目、髪型、唇の動きなどをつい見てしまって…

うわ…俺やば…

意識したら急にスーパー恋愛モード入っちゃてる。

ドキドキ気分のまま、昼休みは久しぶりに購買に行った。

普段あんまり食欲ないから屋上で寝てるんだけど、今日は何となく。

思えば友だちとゆっくり話したり、バカ言って笑い合うのをここのとこずっとしてこなかった。

自然と自分から避けてたんだと思う。

佐「翔太ー！」

突然名前を呼ばれ、人集りができてる方を見て驚いた。

なぜかそこにセンセーがいたから。