３週間【青】 (ページ18)

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見ればそこには渡辺くんの姿が。

正直、校内で動く彼を見るのが貴重な気さえするが、たくさんの男女に囲まれた彼は大きな口を開けてゲラゲラと楽しそうに笑っていた。

家庭の事情を知っているからか、何だか渡辺くんが笑顔だと勝手にホッとしてしまう自分がいた。

佐「あ、翔太じゃん！翔太ー！」

佐久間くんが元気に渡辺くんに向かって手を振ると、こちらを見た渡辺くんと目が合った。

なんだか驚いた顔をしてたけど、すぐにまた友だちと談笑を始める。

「渡辺くんと友だちなんだね」

深「俺たち3人、1年の時同じクラスだったんだよ！」

なるほど。

食事を終えて2人が「先生じゃーねー！」と去ると、他の女子生徒たちも当たり前のように去っていき、嵐の後みたいに急に1人ぽつんと取り残された。

何だか圧倒されたな…

急いで最後のパンを頬張り、午後の授業に向けて職員室へと向かった。

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今日も一日頑張ったなぁー！

本日も無事ノルマ達成。

授業の合間の移動で照のことを見かけたけど、今日は全く会って話す場面がなかった。

照も忙しそうにしてるし、私が見かける時にはたいてい女子生徒たちに囲まれているか、男子生徒に筋肉を見せていた。

まぁ、照は確かにモテるタイプだからね。

そんなことを考えながら最寄りの駅から歩いていると、タイムリーに照からLINEが来た。

照『お疲れ！今日は全然会わなかったな！笑金曜さ、終わった後お疲れ会しない？』

お疲れ会って…まだ２週間残ってるのに？って笑ってしまう。

『１週間お疲れ会ね！笑了解！どっかお店行く？』

照『店でもいいけど、Aん家まだ行ったことないから行ってみたい！』

普通男性に家に行きたいと言われたら身構えてしまうとこだけど、照にはまるでそんな気が起きない。

『オッケー』

そう送って、今日もコンビニに入った。

渡「いらっしゃいませー」

相変わらず人のいない店内で、棒読みの渡辺くんが私を歓迎してくれる。

ハッキリ言って全然やる気ないように見えるけど、真面目にバイトに来てるのだからやる気はあるのだろう。

私も、生きていく為、そして心のオアシスの為に渡辺くんがいようがコンビニに寄ることをやめようとはしなかった。

初めは隣の駅のスーパーに寄って歩いて帰ろうとも思ったけど、疲れた帰り道でその案は簡単に却下されてしまう。

半ば開き直って、このコンビニで買い物をして渡辺くんと話すのが日課になりつつあった。