＊ ページ8
彼の家まで送る？
…どうやって？
とりあえず…タオルと傘だ。
「ごめん、今こんなのしかないけど」
そう言って小さなハンドタオルを渡辺くんに渡す。
「傘とタオル買ってくるから、それで拭いて待ってて」
自分の傘とタオルを渡辺くんに預けてコンビニまで走ろうとした手首をギュッと掴まれる。
渡「いい。いらない。…頼むからもう離れないで」
そのままグッと引き寄せられて冷たい感触が私を纏った。
渡「あ…やべ、ごめん！センセーまで濡れちゃうわ。…つか傘も！俺はいいから使って」
引き寄せられた身体は渡辺くんに一瞬で引き剥がされ、乱暴に傘を差し出しながらもしっかりと私が濡れないようにしてくれている。
迷った。
すごい迷ったけど、いよいよ寒さで震え出した渡辺くんをこのままにしておくわけにはいかない。
「…渡辺くん、立てる？」
渡「んー…」
力無く答えながらヨロヨロと立ち上がる渡辺くんを左手で支え、濡れないように傘をバランス良く持ちながらここから5分の私の家へと歩き出した。
・
・
・
玄関前につき、びしょ濡れの鞄の中から鍵を取り出す。
「渡辺くん、靴脱げる？」
渡「うん…」
自分でできることはしてもらい、家に入るなり私は急いで家にあるだけのタオルを抱えて玄関に持ってきた。
2人とも靴下までびしょ濡れで、その場で脱いで足を拭く。
「渡辺くん、これで早く髪拭いて」
バスタオルを渡すと、
渡「…センセーが拭いて？」
上目遣いでそんな甘えたことを言ってくる。
何よ…キャラ違うじゃん…
いつもの憎まれ口はどこに行ったの？というくらい目の前にいる渡辺くんが…可愛い。
「…自分で拭けるでしょ？」
ドギマギしながらつい突き放すような言い方をしてしまう。
渡「無理。拭けない。センセーやって」
「…もう。何子どもみたいなこと言ってんの」
…私の負けです。…可愛すぎて無理。
ドキドキを悟られないように、あぐらをかいて座る渡辺くんの髪を膝立ちの姿勢でワシャワシャと拭く。
静まり返った室内に、互いの呼吸音とタオルの摩擦音だけが妙に大きく響いた。
どうか、心臓の音がバレませんように…
突然タオルで拭く私の手首を渡辺くんが掴んだ。
渡「ごめん、あの…さ、それ狙ってる？」
何のことかと思えば渡辺くんの視線は私の胸元をとらえ、つられて私も自分の胸元に視線を移せば、雨で濡れたブラウスから下着がしっかり透けていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1981人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
R(プロフ) - emさん 寂しいと思ってもらえるなんて…🥺ありがとうございます！ (2021年10月22日 16時) (
レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - みかさん 嬉しいコメントありがとうございます🥺ほっこりしてもらえて安心しました＾＾ (2021年10月22日 16時) (レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
em(プロフ) - 終わっちゃうのが寂しいです🥺 (2021年10月22日 7時) (レス) @page22 id: d7760676f5 (このIDを非表示/違反報告)
みか - 最後ちゃんとほっこりさせてくれるRさん！プラスアナザーストーリーという展開！いやぁますます目が離せない (2021年10月21日 21時) (レス) @page22 id: 75d95be2cc (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - とんたんさん 前作も読んで下さったのですね！ありがとうございます、嬉しいです（涙）おまけも楽しんで頂けていたら幸いです＾＾ (2021年10月21日 21時) (レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：R
| 作成日時：2021年10月15日 21時
