それは突然に ページ46
秋も深まり、冬の匂いを感じ始めた頃、いよいよ受験に向けてラストスパートをかけていた。
最後の文化祭で私は吹奏楽部を引退し、放課後は図書室で勉強をして蓮を待つ日が増えた。
照はあの一件で彼女と別れてしまった。
人間性があり得ないと怒りを露わにし、代わりに謝ると言って再度私に頭を下げた。
私を気にしてくれてのことだったけど、私としては少し心苦しかった。
そして蓮からは、私の受験を気にして放課後待たずに先に帰って欲しいと言われた。
勉強して待つのだから私は問題なかったのだけど、蓮もまた、この先に控えてる大きな試合に出れるかどうかで推薦に関わる大切な時期と言っていたので、練習が長引くことを懸念して早く帰って欲しいとのことだった。
寂しい気持ちもあったが、代わりに朝一緒に登校しようという蓮の提案で、私たちは変わらず毎日顔を合わせて言葉を交わすことができていた。
蓮が帰宅する20時頃には毎日連絡をくれたし、本当に今までと変わらず順調だと思い込んでいた。
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それから月日が経ち、私も照も無事に付属の大学の教育学部と体育学部に合格した。
12月に入ってすぐの土曜日、蓮に突然デートに誘われた。
毎週土曜は部活なのに珍しいなと思ったし、当日の朝に突然言われてビックリしたけど、急に休みになったようで、久しぶりに外でデートできる事にすっかり私は浮かれていた。
…思えばこの時、もっと疑うべきだったんだ。
街はすっかりクリスマス一色だった。
学校の近くに先月オープンしたばかりのカフェの前を歩いていた時に、クリスマスケーキ予約の案内を見つけた。
ケーキの上にサンタと雪だるまが寄り添うように並んでいるそのクリスマスケーキがとても可愛くて、思わず立ち止まって見てしまう。
「可愛いー」
蓮「本当だ、可愛いね。…食べたいの？」
「うん！」
蓮「はは！元気だ。笑…予約しよっか？」
「え、いいの？」
蓮「うん。…Aが嬉しそうにコレ食べてる顔…見たいなぁ…」
「私だけじゃなくて蓮の嬉しそうな顔もね。ホールケーキ2人だけで食べるなんて贅沢だねっ！」
想像するだけで夢が膨らむ。
蓮はただ微笑んでいた。
「そう言えば今日部活ないの珍しいね。試合、来月だよね？観に行くの楽しみだなぁ！」
蓮「……Aの合格祝いが先だよ」
何故か少し寂しそうに蓮が微笑む。
…？
この日を最後に、蓮は私の前から姿を消した。
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R(プロフ) - emさん 寂しいと思ってもらえるなんて…🥺ありがとうございます！ (2021年10月22日 16時) (
レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - みかさん 嬉しいコメントありがとうございます🥺ほっこりしてもらえて安心しました＾＾ (2021年10月22日 16時) (レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
em(プロフ) - 終わっちゃうのが寂しいです🥺 (2021年10月22日 7時) (レス) @page22 id: d7760676f5 (このIDを非表示/違反報告)
みか - 最後ちゃんとほっこりさせてくれるRさん！プラスアナザーストーリーという展開！いやぁますます目が離せない (2021年10月21日 21時) (レス) @page22 id: 75d95be2cc (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - とんたんさん 前作も読んで下さったのですね！ありがとうございます、嬉しいです（涙）おまけも楽しんで頂けていたら幸いです＾＾ (2021年10月21日 21時) (レス) id: 7b806d3bae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：R
| 作成日時：2021年10月15日 21時
